1-1. 新しいNISAの基本設計
本章は制度の仕組みだけを手早く把握するための一般情報です(投資助言ではありません)。
目的とコンセプト
- キーワードは 「長期・積立・分散」。個人の資産形成を後押しするため、一定の枠内で運用益・配当が非課税になります。金融庁
枠の種類(併用OK)
- つみたて投資枠:年 120万円
- 成長投資枠:年 240万円
- 年間の合計上限:最大360万円(2枠を合わせた上限)
- 2枠は同一年に併用可能です。金融庁
生涯の非課税保有限度額(総枠)
- 合計1,800万円まで非課税で保有できます。
- うち、成長投資枠の上限は1,200万円。
- 保有期間は無期限(“いつまで持てるか”の期限なし)。金融庁+1
「売却で枠が復活」の考え方
- 非課税で保有している商品を売却すると、取得価額(=簿価)相当額が翌年以降に生涯の非課税保有限度額へ戻ります(その年の年間360万円は当年中に復活しません)。
例:2024年にNISAで買った30万円分を2024年中に売っても、2024年の年間枠は空かない。2025年に簿価30万円分が総枠へ復活。三菱UFJ銀行 FAQ+1
補足:復活したからといって年間360万円の壁は越えられません。大きく売って枠が戻っても、投資できる当年の上限は360万円までです。三菱UFJ銀行 FAQ
図で理解(挿入指示)
- 図1:年間枠の構造
120万円(つみたて)/240万円(成長)=360万円のスタックバー。 - 図2:生涯枠の内訳
1,800万円(うち成長投資枠1,200万円上限)のドーナツ図。 - 図3:枠復活のタイムライン
年Nで「購入→保有」、年Nで「売却」、年N+1で簿価分が総枠に復活の矢印図。
用語ミニ解説(本章で出た語)
- 簿価(取得価額):その商品をNISAで買った時の金額。売却時の時価ではなく、この金額を基準に総枠が復活します。三菱UFJ銀行 FAQ
- 非課税保有限度額(総枠):生涯で非課税保有できる上限(1,800万円)。年ごとの投資上限とは別物です。金融庁
参考:制度の公式案内は金融庁 NISA特設サイトが一次情報です。金融庁+1
1-2. 何が買える?(対象商品のざっくり像)
本章は対象商品とコスト構造の概要のみを整理します(一般情報。特定商品の推奨はしません)。
つみたて投資枠(年120万円)
- 対象:金融庁が定める基準を満たす投資信託(主に低コストのインデックス/バランス型)+一部ETF。金融庁は「対象商品届出一覧」を公開しています。金融庁
- ポイント:長期・積立・分散に適するよう要件(販売手数料なし等)を備えた商品群に限定。金融庁
- 参考:対象ETFは限定的で、販売会社(証券会社)により取扱い有無が異なるケースがあります。マネー部JPX+1
成長投資枠(年240万円)
- 対象:上場株式、ETF、REIT、公募株式投信 等。投信については投資信託協会、ETF/REITの一部は取引所が対象銘柄一覧を整理しています。金融庁+1
- 使い分け像:つみたて枠の対象外商品も、要件を満たせば成長枠で購入可能。AM ONE
代表的な商品カテゴリー(例)
- インデックス投信(国内株・先進国株・全世界株、バランス型など)。金融庁
- ETF(国内株指数、米国株S&P500、全世界株など)。マネー部JPX
- REIT(不動産投資信託)(東証REIT指数連動ETFや個別REIT)。金融庁
- 上場個別株(成長投資枠のみ)。金融庁
コストの見方(ざっくり)
- 販売手数料:投信の購入時手数料。つみたて枠は**ノーロード(0円)**が基本。金融庁
- 信託報酬(経費率):保有中にかかる年率の運用管理費。投信・ETFともに存在(ETFは表示は「信託報酬」や「実質経費」)。※数字は各ファンド目論見書で要確認。
- その他取引コスト:証券会社の売買手数料(ゼロの会社も多い)、スプレッド、投信の信託財産留保額など。取扱いの有無・手数料体系は各社で異なります。SBI証券
メモ:対象かどうかは“制度上の要件”ד販売会社の取扱い”の両方を確認するのが実務的です(例:制度上OKでも、特定の証券ではつみたて枠でETF未対応など)。マネー部JPX+1
1-3. 口座まわりの基本ルール
本章は口座の開き方・変えるとき・旧制度との関係・配当設定の実務を手短に整理します(一般情報。助言ではありません)。
基本:1人1口座/同一年は同一金融機関
- NISA口座は1人につき1口座。つみたて枠と成長枠を別の金融機関で同一年に使い分けることは不可。金融庁+1
- 金融機関の変更は年単位で可能(変更したい年の前年10月1日〜当年9月30日が一般的な手続期間の目安)。金融庁+1
金融機関を変えるときの実務ポイント
- その年にすでに買付がある場合は、原則当年中の変更不可。翌年分からの変更を手続。マネックス証券
- 変更後も、変更前の金融機関にあるNISA保有資産はそのまま非課税で保有(残高の“移管”は不可)。レゾナ銀行
- 氏名・住所・個人番号の変更時は、非課税口座異動届出書の提出が必要。金融庁
旧NISA(〜2023)との関係
- 売却の必要なし:旧NISAの非課税期間(一般5年/つみたて20年)はそのまま保有可。
- 新NISAへロールオーバー不可(非課税期間終了後も新制度に移せない)。金融庁+1
特定口座・一般口座との違い(よくある論点)
- 損益通算は不可:NISA口座内の損失はないものとみなされ、特定・一般口座の利益と通算できません。日本サーフィン協会
- 配当・分配の受取先設定:
- 上場株・ETF・REITの配当等を非課税にするには「株式数比例配分方式」(証券会社で受取)を選択。他方式だと課税。日本サーフィン協会+1
- 投資信託の分配金は受取方法にかかわらずNISA口座内なら非課税(元本払戻し相当はそもそも非課税)。日本サーフィン協会
メモ:2024年以降のNISAでは、売却した簿価分が翌年以降に総枠へ復活しますが、その年の年間枠(最大360万円)は増えません。詳細は第1章で解説済み。一次情報は金融庁特設サイトをご確認ください。金融庁
1-4. 新しいNISAが初心者に向く理由
本章は制度の特徴を“初心者目線”で要約します(一般情報であり投資助言ではありません)。
なぜ始めやすい?
- 非課税×無期限:NISAで買った商品は保有期間に期限なし。時間を味方につけた長期運用がしやすい。投資信託協会
- 売却しても枠が戻る(翌年以降):簿価(取得金額)分が翌年以降に総枠へ復活。ライフイベントで取り崩しても、また非課税で積み直しやすい。金融庁+1
- 2つの枠を使い分けできる:年つみたて120万+成長240万の設計で、積立もスポット投資も同一年に運用可能。**生涯1,800万円(うち成長枠1,200万円)**の上限管理も明確。金融庁
- “つみたて投資枠”は商品要件が明確:ノーロード等、長期積立向けの基準を満たした投信(+一部ETF)に限定。初期の迷いを減らせる。金融庁+1
- 制度の狙い自体が“長期・積立・分散”:積立・分散を続けることで高値掴みリスクの平準化や複利の効果を期待する、という設計思想。金融庁
かんたんイメージ
- 例)学費・住宅:必要時に売却→現金化→翌年以降に簿価分の枠が戻る→再び積立継続、がしやすい。金融庁
注意:当年の年間上限(最大360万円)はその年の途中で売っても増えません。復活は翌年以降&簿価ベースです。金融庁
用語ミニ解説(辞書式)
この記事で使う主要キーワードを、短く・実務寄りに整理します。
簿価(ぼか)/取得価額
- 意味:その商品をNISAで購入したときの金額。
- 使われ方:NISAで売却した際、翌年以降に復活する生涯枠はこの簿価ベースで戻る(時価ではない)。
- 例:20万円で買って30万円で売っても、戻るのは20万円分。
非課税保有限度額(生涯枠)
- 意味:NISAで生涯にわたって非課税で保有できる残高の上限。
- 上限:合計1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)。
- 注意:“年間上限(最大360万円)”とは別物。毎年の投資額を管理する枠と、長期の保有残高を管理する枠で役割が違う。
つみたて投資枠
- 意味:年120万円まで、長期・積立・分散に適した投資信託等に積み立てられる枠。
- 特徴:商品は一定の要件を満たす低コスト投信+一部ETFに限定。
- 位置づけ:初心者でも選びやすいよう商品要件が明確。
成長投資枠
- 意味:年240万円まで、上場株式・ETF・REIT・公募株式投信などを購入できる枠。
- 特徴:つみたて枠に比べて対象が広い。
- 生涯枠との関係:生涯1,800万円のうち、この枠で使えるのは最大1,200万円。
ロールオーバー
- 意味:旧NISA(〜2023)で、非課税期間終了時に翌年度の非課税枠へ移す仕組みのこと。
- 新しいNISAでの扱い:旧NISA→新しいNISAへのロールオーバーは不可。旧NISA資産は旧制度の非課税期間内でそのまま保有。
注意点(よくある勘違い)
制度の“落とし穴”を短く整理します(一般情報。助言ではありません)。
- 売っても当年の枠は戻らない
その年の途中で売却しても当年の年間枠(最大360万円)は増えません。復活するのは翌年以降、かつ簿価(取得金額)分だけです。金融庁+1 - 旧NISA→新NISAへの移管(ロールオーバー)は不可
2023年までの一般/つみたてNISAで保有中の資産は旧制度の非課税期間内でそのまま保有。新NISAへは移せません。金融庁 - 同一年に別証券で“枠分け”利用は不可
NISAは1人1口座が原則。買付できるのは各年につき1つのNISA口座のみ(金融機関の変更は“年単位”で可能。すでに当年買付があると年内変更は不可)。金融庁+1 - 配当・分配の受取設定ミス
上場株・ETF・REITの配当を非課税にするには株式数比例配分方式(証券口座受取)に設定が必要。銀行受取や郵便振替等だと課税になります。投資信託の分配金はNISA口座なら原則非課税。国税庁+1 - 生涯枠1,800万円の“埋まり方”は時価でなく簿価
管理は買付額=簿価ベース。評価額が上がっても生涯枠の消費は増えません。売却で翌年以降に簿価分が復活します。金融庁+1 - 未成年の扱い(一般論)
新NISAの対象はその年の1月1日現在18歳以上の居住者等。ジュニアNISAの新規投資は終了済み。国税庁+1
使い方の超ミニ戦略(サンプル|一般情報)
ここでは**制度の枠組みに沿った“使い分け例”**を挙げます。特定商品の推奨や助言ではありません。
例1:初心者/手間を減らす
- 狙い:とにかく迷いを減らし、仕組み化して継続。
- 使い分け:
- つみたて投資枠(年120万円)で、長期・分散に適した低コストのインデックス型投信を自動積立。
- 成長投資枠(年240万円)は未使用でもOK(必要になったら使う)。
- ポイント:対象商品は制度要件で絞られており選びやすい。積立は非課税・無期限のメリットを活かしやすい。金融庁+1
例2:配当志向
- 狙い:分配・配当の受け取りを重視。
- 使い分け:
- 成長投資枠で高配当系ETFや個別株等を分散。
- つみたて投資枠はコアの積立を継続。
- ポイント:上場株・ETFの配当を非課税にするには、受取方式を「株式数比例配分方式」に設定が必要(証券会社受取)。設定ミスは課税になるので要注意。金融庁+1
例3:将来取り崩し(学費・住宅など)
- 狙い:ライフイベントに合わせて計画的に現金化。
- 使い分け:
- 基本はつみたて投資枠でコア運用。
- 必要時に売却→現金化。簿価(取得額)分は翌年以降に生涯枠へ復活するので、また非課税で積み直し可。
- ポイント:当年の年間上限(最大360万円)は売却してもその年は増えない点に注意。投資信託協会
よくあるQ&A(5問)
制度の一般情報のみをまとめています(助言ではありません)。
Q1:年の途中で売っても今年の枠は戻る?
A:戻りません。売却した商品の簿価(取得金額)に相当する分が翌年以降に生涯枠へ復活します(当年の年間上限360万円は増えない)。金融庁+1
Q2:損して売ったらどうなる?
A:復活するのは簿価ベースです。たとえば20万円で買って15万円で売っても、翌年に復活するのは20万円分。なお、NISA内の損失は損益通算できません。金融庁
Q3:未成年は?(一般論)
A:口座開設は18歳以上(その年の1月1日現在)。未成年の新規NISAは不可。ジュニアNISAは2023年で新規終了。国税庁+1
Q4:途中で証券会社を変えたい。どうすれば?
A:年単位で変更可能ですが、各年に買付できるNISA口座は1つだけ。当年すでに買付している場合は、原則翌年から新しい金融機関で利用します。金融庁
Q5:配当の受取先設定で損しないチェックは?
A:上場株・ETF・REITの配当を非課税にするには、配当受取方式を**「株式数比例配分方式」(証券口座受取)に。その他方式だと課税扱い**になります。国税庁+1
免責&最新情報の確認
本記事は制度の一般情報をわかりやすく整理したものであり、投資助言ではありません。最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
- 最新情報の確認先
- 金融庁のNISA特設ページ・Q&A
- 各証券会社の案内ページ(NISA口座の手続き・配当受取方式・取扱商品の一覧など)
- 制度は改正される可能性があります
税制・対象商品・手続き等が将来変更される場合があります。実際の申込み・設定前に、必ず最新の公式情報をご確認ください。 - 個々の事情により結論は異なります
収入・資産状況・投資経験・目的(学費、住宅、老後準備など)によって、適した使い方は変わります。必要に応じて**専門家(税務・法務等)**へご相談ください。 - 配当・分配・損益通算などの税務取扱い
方式の設定や口座区分により結果が異なることがあります。ご自身の受取設定・口座種別を確認のうえ、最新の取扱いを参照してください。
まとめ(TL;DR再掲)
- 年間上限:最大360万円(つみたて120万+成長240万)
- 生涯枠:1,800万円(うち成長枠1,200万円まで)/保有は無期限
- 売却と枠復活:簿価(取得金額)分が翌年以降に生涯枠へ復活(その年の年間上限は増えない)
- 口座ルール:1人1口座。同一年は同一金融機関のみ利用可。変更は年単位
- 対象商品ざっくり:
- つみたて枠=要件を満たす低コスト投信+一部ETF
- 成長枠=上場株・ETF・REIT・公募株式投信など
- 初心者に向く理由:非課税×無期限/売却で翌年以降に枠復活/つみたて枠の要件で迷いにくい
- 注意ポイント:配当受取は株式数比例配分方式に設定/旧NISA→新NISAへ移管不可/生涯枠は簿価で管理

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